*** SCSIチップの「55互換(/92互換)」 ***


 SCSI-BIOSの無い場合や、32ビットWindowsやOS/2のようにBIOSを利用しないOSでは、ドライバ互換で問題となるのが、SCSIチップの違いです。SCSIチップが55互換の挙動をしないものは、Windowsにおいても55/92ドライバは流用できません。

 いわゆる55ボード(無印/L/Uなど)では、SCSIチップとしてWesternDigitalのWD33C93(A)が採用されていました。92ボードではこれらと互換性がありFAST SCSIに対応したWD33C93Bが採用されました。この意味ではWD33C93(A)相当品搭載の55互換SCSIに対してWD33C93Bを搭載した各社SCSI-2ボードを92互換と言うことはあるようですが、92ボード自体はSCSI-2対応を保証していませんから、あまり有効な意味ではないと思われます。ただし92では55と比べSCSIコマンドが増えていますから、一部の機能がSCSI-2相当となっている可能性はあり、92とコマンド互換の意味で使われたのかもしれません。

 WD33C93互換チップはAMDなどからも出ており、WDはのちにSCSI部門がAdaptecに移籍するなど、相当チップの型番はいろいろあると思われます。
 Windowsが16ビットの当時でも、OS/2は存在しましたから、55ドライバを流用するために、各社から出たSCSIは基本的にこれらのWD33C93互換のチップが採用されました。ICM IF-277xシリーズのように別のSCSIチップを採用しても、OS/2のドライバ対策のために、ハードウエアエミュレーションによりWD33C93互換の挙動を実現したものもありました。

 WD33C93互換チップは主にCバスで使われましたが、CバスSCSIでもAdaptec AIC-1030P/Bや、1030PのOEMである純正100ボードでは別のチップが使われていたため、55非互換です。
 また、Cバスでもスキャナやテープストリーマ、あるいはCD-ROM専用I/Fなどでは、BIOSを搭載せず、専用ドライバで直接ハードウエアをいじるものがありました。これらでは55非互換のSCSIチップがよく使われていたようです。ハードウエア的にはSCSIですが、通常の55互換SCSIとしての挙動は無いため、PC-98から見ればSCSIとは別のI/Fとして利用できます。
 一方、理由は後述しますが、PCIではWD33C93Cを搭載したものは恐らく無かったように思われます。ちなみに、IO-DATA SC-NBPCIBはWD製のSCSIチップを搭載していますが、55ドライバでは動きませんでした。


KAZZEZ

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