*** 「55互換」「92互換」ってなに? ***


はじめに

 PC-98のSCSIインターフェースの世界では、よく「55互換」「92互換」という表現が使われます。これは言うまでも無く、NECが出荷していたCバス用SCSIボード、「PC-9801-55」と「PC-9801-92」に由来します。PC-98の世界ではこれが標準の規格であり、互換ボードでなければ98のSCSIと名乗ること自体が怪しくなるような状況でした。しかし考えてみれば、これらに「互換」と言うにはものすごく様々な意味があり、BBS上の意見を眺めていると、言うほうも聞くほうも正しい意味で使っているのか、意図した意味で通じているのか、極めて怪しいことが頻繁に見受けられます。そこで日常「55互換」「92互換」といえば、どのような意味で使われているのかを集めて整理(というより列挙か)してみました。

目次

BIOSレベルの互換性
  L BIOSファンクションの「55互換/非互換(/BIOSなし)」 → たとえばCD-ROMドライバの互換性に影響。
  L CHSパラメータの「55互換/92互換/非互換」 → HDDのフォーマットの互換性。

ハードウエアレベルの互換性
  L SCSIチップの「55互換(/92互換)」 → たとえばWindowsドライバの互換性に影響。
  L 転送速度/モードの「55互換(/92互換)」(DMA転送かFIFO(以上)か) 
  L リソース(PnP)の「55互換」←→ PnP → CバスSCSI用ツールの動作可否に影響。
  L スイッチ設定の「55互換(/92互換)」

まとめ

 基本的に、後発の92ボードはそれ自体が55ボードの上位互換であることと、どちらもNECとしてはSCSI-1に分類されていることから、「92互換」と言った場合にはほぼ「55互換」と同義である場合が多いようです。意図的に「55互換」と区別して「92互換」と呼ぶ場合には、ほぼHDDフォーマットの形式(CHSパラメータ)のことを指していると思われます。それ以外で「92互換」と言った場合は、あまり有効な意味を指すケースが無いからです。
 もちろん狭義にはPC-9821A-E10やPC-9821N-U05を指すと思われますが、一般的には、HDDの認識がいわゆる標準フォーマット(8ヘッド32セクタ)に対応しており、WD33C93Bまたは相当のFAST-SCSIチップを搭載して、FIFO以上の高速転送が可能な、レガシー(非PnP)動作に対応したCバスSCSIで、起動BIOSを搭載するもの・・・と考えればとりあえず間違いないのではないかと思いますが、すべての条件を満たさなくとも92互換(相当)と呼ばれることも珍しくないようです。
BBSなどにおいて説明の都合で「55互換」「92互換」という表現に疑問を持った場合は、それがどういう意味なのか、よく考えてみるとよいでしょう。これは、もちろん発言する場合も同様です。

KAZZEZ

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