*** PC-9821Xa7(予告編) ***


〜〜〜その(1) MMX化の無意味な一面〜〜〜




 PentiumProが世に出て少したったとき、既存のPentiumに新たな命令が追加されることになりました。マルチメディア処理に特化されたもので、MMXと呼ばれるものでした。PentiumProの次期バージョン(PentiumII)にも搭載されることも決まっていました。
 そのような時代の流れを受け、98の世界では既存のPentium機にMMX対応CPUを載せるといういわゆるMMX化の話題が盛り上がったのは記憶に新しいかと思います。というのも、これが98では一筋縄では行かず、どうやれば載せられるか、どの機種ではそのまま載るかなどのちょっとした知識やテクが必要だったため、論議を呼んだからです(次回後述予定)。
 しかし、私はMMX化などまるで興味がありませんでした。というよりは理解していませんでした。「何ーんで、出たばっかのものが必須になるというんだ」と。確かに今までは8086から186/286になる時や、286から386になった時は、非常に便利な命令が追加されたため、古いCPUユーザには致命的だったかもしれません。

 ちなみにPentium、MMX-Pentium、PentiumIIの関係は8086、186、286の関係に良く似ています。世代的に古いローエンドCPUにも新命令を追加して市場のCPUすべてを一新し、それまでのCPUを陳腐化させて買い替えを促そうという計画が感じ取れます。

 しかし386で86系プロセッサのアーキテクチャは事実上完成していたので、無くて困るような事態など当分来ないと思っていました。事実、数年たってSSE2が推奨されるようになる間、MMX機能が必須命令というには少々オーバーな感がありました。PC-98をはじき、Win98以降を要求するOfficeXPでさえ、MMXは要求しません。もし精神的に最強のCPUを使いたかったのであればPentiumProにすべきでしたし、完璧を目指すならPentiumIIを待つべきだと思っていました。もちろん、同じスペックならATより遅いと言われる98を少しでも快適に使いたかったというのはあるでしょう。しかしローエンド志向だった私にはそんな事はどうでもよいことでした。
 それに私は、それまでの286や486(のソケット)がどれだけの可能性を持っていたか、サードパーティ製のCPUアクセラレータから感じ取っていました。286は486/50相当(4倍速)、386DX/486はPentium75から100に相当する程度までパワーアップでき、FSBの低い機種ではクロック倍率が最大で8倍速にもおよぶものも有りました。このように、どうせ載せるならサードパーティ製の最後のCPUアクセラレータにすればいいや、と思っていたのです。
 もともと486でさえパワーアップを前提に考えられたソケットを使っていましたが、それに比べるとPentiumのソケット5/7は格段に高い可能性を秘めていました。CPUアクセラレータが出れば最終的に最低でも400MHz、あわよくば600MHz以上は出せるに違いないというものでしたし、実際そうでした。そういう意味ではインテルがサードパーティへの牽制でソケット5/7を捨て、SLOT1に逃げたのは非常に残念でした。しかしそれはそれでサードパーティに期待できるということでもありました。当時はまだMMX-233やK6-300くらいが関の山でしたから、私はまだまだ待ちだな、と思っていました。自分で怪しい改造をするよりも正式対応のCPUアクセラレータを利用した方が実用的でもありましたし。それに将来性云々を言うならP6系に勝るものはなかったわけですし。

 実際、NECが98独自路線を捨てた頃、こぞってP5機のMMX化をしていた現象は、私の目にはかつての500円玉が出回りはじめた頃の500円玉収集のように映りました(歳がばれるって)。そして実際、ソケット5/7用のCPUアクセラレータが600MHzで打ち止めになる頃には、一部を除く多くの対象機種でメモリ増設上限128MBの壁がネックになってきました。一方のP6系機種では256-512MBまで積める機種が多く、またソケット8機をソケット370にする下駄も登場し、CPU選択自体も600MHz超ができ(一部の機種ではITFに制限があり古いCPUしか載らないが)、正式対応のCPUアクセラレータ(といってもRA300/333の2機種だけだが)も667MHz版まで登場したほか、パーツ追加だけでX-BOXと同じPen3-733MHz相当くらいまではどうにか載せられるようです。それこそFSBクロックアップやES(エンジニアリングサンプル)版プロセッサ利用により夢の1GHz運用をしておられるパワーユーザーもいらっしゃいます。P6機は完全に98の世界での主役として今をときめいているのです。もっとも、98の世界自体が下火といえばそうかもしれませんが。

参考: PC型番デスクトップ98における、メモリ128MB突破可能機種の例

 これらは基本的に本体側の認識についてです。実際には電力の問題などもあるため、大容量のメモリ運用には諸問題を解決するスキルが必要です。
 また、各PCのITFのカウント上限とPCIチップセットの仕様による認識上限のほか、各PCにはSIMMスロットが限られた数しか存在しないため、64Mビットチップに対応しているか、16Mビットチップ止まりかによっても条件が異なります。

256MB上限の機種(32MBx8)
Xt系
追記: 430NX搭載のXt初代は512MBまで、450KX搭載のSt系は1024MBまでのチップセット上限を認識する可能性あり、ただしこれらの機種はFPであり、EDOで代用すると不安定な可能性もあるため現実的ではなさそうです。

512MB上限の機種(128MBx4)
Xv/W、Xa/W、Xa200、Ra系(Ra20/N12ではまりもさんのソフトが必要)

1024MB上限の機種(128MBx8)
Rv系、Rs系、
St系(?)

192MB上限の機種(32MBx6)
EPSON PC-586系

その他、SV-98も64MBのSIMMが動いて128MB超えできるそうです(Xt初代同様512MBと思われる)。
H98系(+NESAバスメモリ?)でも128MB超えできるという話ですが、上限はわかりません。

ごく一部のノート機も、保証外ながら128MB超に対応したものがあるそうですが、
レジュームがうまくいかないなどの不具合がでることがあるそうです。

追記: 一枚あたり128MBのSIMMを使うときの重要な注意事項


 まあそんなわけで、P5機の(CPUアクセラレータを使わない)MMX化には私はあまり良いイメージを持っていなかったのですが、そんな私がXa7にMMXを載せたのには、実は古い98使いだったことによるちょっとした理由があったのでした。

続く(はず)。



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