*** SSのビデオ出力ケーブル ***


↑あまり意味無いがSEGA SATURN(以下SS)の
RCAビデオケーブルを作ってみた。

はじめに

SSのジャンク本体はハードオフなどで安く手に入ることがあります。しかし意外に出力ケーブルが見付かりません。さらにコネクタはミニDINの10ピンらしきもので、他ではあまり見ません。自作用コネクタも見ないので、思い切ってコネクタごと作ってみました。

事の発端

周知の通り、PSE法施行時の中古市場は混乱していました。施行後は古いゲーム機は売れなくなるとあってか、気のせいか近所のハードオフでは\105〜\315程度のジャンクでSSが多く出まわるようになったようでした。今のうちにしか手に入らないのなら、ということで、安くて動きそうな本体を買ってみることにしました。見た目は傷が付いていて状態は良くないが、それほど安くなっていないもの、ということで、結局\210のものにしました。専用コントローラもジャンクなら\63〜\84で出ていましたが、\63のものでも端子の接触(サビ)に気をつければとりあえず動きました(IF-SEGA/98で動作確認)。SS本体の電源は通常のメガネケーブルが流用できます。しかしテレビへの出力はミニDINの専用ケーブルが必要になります。これは上記金額に見合うようなジャンクではなかなか見付からず、長いこと動作確認ができませんでした。

ピンアサインの確認

とりあえず電源だけ入れてみてもCDを読みに行かないので、あまり期待はできそうにないと思いましたが、とりあえずケーブルを自作する価値があるか動作確認をすることにしました。SSの出力ピンアサインについては探せば他所にあるらしいですが、とりあえずこのときは自分で探りました。
まず出力コネクタの10箇所の穴にピンをつき立て、フレームとの導通をみました。しかし本体側であるにもかかわらずフレームとピンに導通が無く、また店頭で市販のビデオ出力ケーブルを見てもRCAステレオ出力(Video/R/L)のものは3本しかピンが使われていないことから、フレームがGNDの可能性が高そうです。あとは、市販品で使われていたピン3本を総当りでビデオのケーブルに仮接続してみます。これで映ったら、それ以外のピンが音声(R/L)ということになります。その結果が以下↓。
SS本体の背面から見たところ
|○○ V| V:ビデオ
|○○○○| R:音声右
| RL○ | L:音声左
画面が映ると、カレンダの設定画面が出ていました。だからCDを読みに行かなかったのですね。どうやら内蔵バッテリが切れていたようです。電池はPCと同じCR2032なので、今なら\100ショップでも手に入ります。画面さえ映ればCDプレイヤーにも使えますから、残りの信号のどちらがRでどちらがLかはすぐ確かめられます。
ところで使われていないピンについては、ビデオに繋ぐとモノクロ画面が映る信号が3箇所くらいありましたから、S端子とかのRGB用でしょうか。また電力用と思しき、画面が激しく乱れたりフラッシュしたりする信号もありましたので、この方法では総当りで探すのは危険そうです。故障しても火事になっても当方はいっさい責任を持てませんのでご注意ください。

コネクタ作成

動くと分かればこっちのものです。コネクタは適当に有り合わせの材料で作ってみました。なお98ノートのディスプレイ出力端子もミニDIN10ピンですが、SSとはフレームの形状が異なっているのでそのままでは差さりません。


↑自作したコネクタ。

まずフレームですが、薄いプラスチック板を丸めて銅テープを貼り付けて(巻いて)みました。プラスチック板は適当な小物商品のパッケージ(プラスチックごみ)を適当に切り取れば良いだけです。プラ板をちょうどコネクタの内周1周程度の長さにしておけば、丸めて銅テープを巻きつけた際に一ヶ所が尖ったティアドロップ状(スライム型)の円になります(写真右上)。この尖った部分を利用して、本体コネクタのフレームの切り欠き部分に合わせるようにしました。なおプラ板を丸める際に、以下の中身を入れて両面テープで固定しました。

ピンは適当な太さのリード線を使いました。固定には木材と木工用ボンドを使いましたが、エポキシパテのたぐいが使えればそのほうが楽だったかもしれません。
木材としては割る前の割り箸の端を切り取って使いました。金ノコの刃で切り出し、爪切りで角を切って丸く形を整え、ヤスリで大きさを整えます。ピンを差す位置にはあらかじめ極細のマイナスドライバで穴を開けておきました。今回は0.8mmのドライバを使いましたが、ピン(リード線)はそこまで太いものはSS本体コネクタには差さらないので、ちょっと穴がゆるすぎる形となりました。しかし穴を開ける位置があまり正確でない場合、これくらい余裕があったほうが本体コネクタのピンに合わせて微調整できるので良かったのかもしれません。
このディスク状の木材を2個用意します。2個重ねた状態でヤスリにかけて大きさを整えたほうがよいでしょう。丸めたプラ板の内径に収まるように絶妙な大きさに加工する必要があります。



リード線は抜けないように真ん中ら辺にくびれを作っておき、その両側から先ほどの木材で挟みます。その後リード線の片方をSSのコネクタに差し、場所を固定しておきます。この状態で2つの木材の間を木工用ボンドで固定します。当然ながら、はみ出たり漏れたりしてSS本体を汚すことの無いように。

ボンドが完全に乾いたら本体コネクタから引きぬき、両面テープを巻き、前述のフレームを(出っ張りの位置が合うように)巻きつけて固定すればコネクタは完成です。コネクタの作成は、言うのは簡単ですが、工作に慣れていないと結構苦労すると思います。あとはこれに市販のビニールコードとRCAコネクタをリード線とフレームに半田付けし、絶縁すべきところを絶縁すればできあがり。


↑自作コネクタ部分が弱いので
あまり頻繁に脱着はできない。

動作確認にはたまたま持っていたSS用ソフトを用いました。これはファン作成のフリーソフトを使えばPC等でも一応動作できるものだったため、たまたま安く出ていたものを買ったものです。ミニゲーム、CV、CD-DAと一通り見てみましたが、まあとりあえず普通に遊べそうでした。当初は右音声が出なかったのでピン位置を間違えたかと思ったのですが、良く見たら右音声のピンがピン曲がりを起こし、フレームの溝にはまっていたというだけでした。ラジオペンチでピン位置を調整したら直りました。

注意事項

自作コネクタはピンにリード線を使っているため正しい向きで入れないとピン曲がりを起こしやすく、別の穴に入ることがあり、その場合は前述のように故障の元です。また、フレームに近いピンは特にフレームに入りやすくなっています。したがって接続は丁寧に行わなくてはなりません。1度うまく入ったら、なるべく差しっぱなしにして取り外さないようにすべきかと思います。本記事は自作を勧めるものではありませんが、まねをする場合はくれぐれも自己責任でお願いいたします。

精算

ここまでの使用コストをまとめてみました。
・SS本体 - \210
・ACケーブル - 拾い物
・コントローラ - \63 (x2個)
・電池(CR2032) - \105 /2個入り(1個使用)
・ビデオケーブル
  ・RCAコネクタ \40 x3個
  ・その他の材料は消耗品なので有り合わせ
というわけで、大まかに\500くらいの出費でしょうか。どうにか本体に見合うジャンク値で揃えることができました。動作確認に使ったソフトも中古(ジャンク)で数百円もしないようなものでした。なお周知の通り、その後はPSE法まわりの状況が変わり、中古販売はそれなりに認められるようになりましたので、正直あわてて買う必要も無かったと思うのですが、ジャンク値で一式が手に入ったのでまぁよしとしたいと思います。

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