*** ROMのソケット化 ***
厳密にはパーツの自作というよりは改造ですが、一応こちらで。
↑基板直付けのROMを引きぬき、ソケット化してみた。
ちょっとした必要から、ROMを基板から引き抜く必要に迫られました。以前、PC-9801D/FシリーズのマザーボードからYM2203(FM音源チップ)と関連ICを引き抜き、サウンドブラスター16/98のFM音源ソケットに移植するということはやったことはあるのですが、はじめてやった際には熱の加え過ぎでICを壊してしまいました。以後、なるべくヒートシンク代わりの大型クリップでIC全体を挟んで行うようにしています。今回はROMということで、デバイスが壊れなくてもデータが破壊されるかもという不安に取り付かれ、かなり慎重にならざるをえませんでした。
基本的に素人の方法だということをご注意の上でお読みください。うまく行かなくても、破壊しても一切責任は持てません。
基本的には何十本とあるICの足には1ヶ所ずつしか半田ごてを当てられませんから、かなり面倒な作業になります。以前の方法では、まずすべての足から半田吸い取り器で半田を取り除きます。それだけではスルーホールの一部にICの足がくっついたままですから、こて先でICの足をスルーホールの真ん中らへんに移動させます。これを全ての足について行います。あとはマイナスドライバで百足ICの片方ずつかわりばんこに浮かせていきます。その際に、それぞれの足にはんだごてを当てていくと、まだくっついたままの足がどのへんにあるかだいたい分かるでしょう。やや強引ですがスルーホールを引き抜くくらいのつもりで剥がしていくと、たまにうまくいくこともあります。しかし実際にやってみると、何ヶ所かはんだが融けにくい足があります。恐らくGNDのように熱の逃げやすいパターンに繋がっているのでしょう。強引に引き抜くとそういったICの足が1本くらい折れたりもします。
今回は比較的貴重な品だったため、根本的に別の方法を考えることにしてみました。銅テープで基板の裏に突き出たROMの足を囲うようにフェンスを構築して、小さな半田槽の状態を作ってみました。近くにチップ抵抗などもありますので、半田が流れてきたら困るからでもあります。
↑ICの足を基板の裏側から銅テープで囲ってみた。
もちろん隙間無く何重かに巻いておく。
ICの足が2列あるので、半田ごてを2本使えば楽に引き抜けるのではないかと目論んだものです。そこで基板を裏返しの状態でROMにICリムーバを固定し、重りを吊るしてみました。もちろんROMにはヒートシンク代わりの大型クリップを噛ませています。
↑基板の裏から錘を吊るす。
しかしあまり効果は無かった。
結論から言うとこれはうまく行きませんでした。前述のようにICの足は場所によって熱の伝わりやすいところと伝わりにくいところがあります。2本の半田ごてを同時に操って2列の「半田槽」を同時に融かすのは至難の業です。フェンスを壊して半田が流れ出そうになってしまいました。結局、片方の「半田槽」だけを交互に融かし、ROMの足を片側ずつ、少しずつ上げていく、という手法をとりました。「半田槽」の状態でも何十本もの足がまとまればそれなりの抵抗になり、「重り」で引き抜くことができなかったからです。
そんなこんなでかなり苦労しましたが、どうにかROMを無事引き抜くことができました。しかし今度は「半田槽」を除去する必要があります。2度手間ですね(汗)。これも半田ごてをあてて半田を融かしながらゆっくり剥がしていきます。基板上に垂れないように基板を立てておくと良いでしょう。さらに「半田槽」を除去しても、今度は銅テープの粘着剤が汚く固まっています。これは熱で溶けるので半田吸い取り線を使うという手もあるかもしれませんが、そこまでしなくてもベンジンできれいに落ちました。
↑どうにかROM剥がし成功。市販のソケットを植え付ける。
これに市販のソケットを植えれば完成です。引き抜いたROMを差しなおすと(最初の写真)、正常に動作しましたのでどうやらソケット化は成功です。ROMを交換して挙動の違いを調べることなどができるようになりました。実は今回、N52シリーズ用のN5281-82と、H98用のH98-B12についてROMを交換してみたのですが、それでN5281-82がH98でも動作したことから(N52シリーズは持っていません)、両者はハードウエア的に同じもので、ROM内容だけが異なるということが検証できました(ROMが異なるとリファレンスディスクによるセットアップも出来ません)。
素人には危険な改造でしたが、ご参考まで。
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