*** MTSA−MX(MMXゲタ) ***



* MTSA-MX概要

 MTSA-MXは、メルコがMTCブランドで出していた、クラシックPentium用のMMX化下駄であり、コア電圧を3.3Vから2.8V程度にまで引き下げてくれるものです。そのため別途電源コネクタを一つ接続する必要があります(これは忘れがちなので故障と思う前に要チェック)。

* 対応CPU

 正式対応のCPUは、MMX-166/200ですが、後にK6-200が追加対応されています。実際にこの組み合せで出荷されたDOS/V用CPUアクセラレータ製品が有ったものと思われます(HK6-DP200あたりでしょうか)。K6-166は保証外ですが、200MHz版とコア電圧が同じ2.9Vなので動く可能性はあるのではないでしょうか。一方、MMX-233は一応動くようですが、保証されていません。消費電力関連で問題となる場合があるのかもしれないので、気をつけておくとよいでしょう。K6-233以降は電圧が異なるので使えません。

* 倍率設定機能

 MTC-40001と同様に倍率設定のジャンパ(2つだけですが)が付いており、マザー上で倍率を変更できない機種でも安心です。
 スイッチ設定については、通常のBFピンの設定と同じなので、ここでは割愛します。というより、組み合わせるCPUにより、てい倍率が異なってきます。また、コア電圧も決め打ちですので、電圧設定ジャンパなどは見当たりません。

* CPUの逓倍率にも注意

 正式対応のCPUがMMX-166/200のため、BFピンに由来すると見られる上記ジャンパの設定は、2倍、2.5倍、3倍が正式対応であり、前述の通りなぜか1.5(3.5)倍は禁止設定となっています。ただしこれについては動いたという報告はあります。
 問題は新しいロットのMMXなどで、一部のBFピンが内部で固定設定になっておりFSB変更に柔軟ではない場合があるということです。たとえばMMX-166の場合、MTSA-MX自体は50MHz×3倍で150MHz駆動が保証されていますが、肝心のMMX-166のほうが133MHz(2倍)/166MHz(2.5倍)しか選択できないロットだった場合はその限りではなく、FSB50MHzでは125MHzが限度になってしまいます。このような玄人向けのパーツというのは、そのようなことにも自身で注意しなくてはならないのです。

* CPUクーラー

 下駄上のソケットにはZIFのレバーはもちろん、クーラー固定の爪もありません。従って付属の熱伝導テープが必要ですが、あるいは、CPUそのものに固定するタイプのヒートシンク/クーラーを用意すると良いと思います。K6ならそのタイプが規格化されているので安心です。もちろん生ソケット7を用意することも考えられますが、これは失敗でした。MTSA-MXでなくとも、部品と干渉して生ソケット7がのせられないMMXゲタ類は、少なくないようです。
追記:
 N2ゲタやNV4ゲタなどでは、生ソケット7を逆向きに使うことで使用可能になる例があるそうです。その方法がMTSA-MXに使えるかどうかは調べていませんが、やってみたらここに追記したいと思います。もちろんそのままでは逆挿しはできないはずですので、ソケットに穴を空けるなり何らかの対策が要るであろうことには留意しておいてください。


* PC-98は保証外

 言うまでもなく、PC-98ではBIOSが古いとMMX搭載時にIDEやPCIが不具合を起こしたり、多くの機種でK6系やM2が動かないなどの制限があるため、MTSA-MXはDOS/V専用です。いわゆる魔法機能が無いのです。Xa/Wなど魔法機能不要な機種で使うか、MMX-Pentiumを載せる場合に限り内蔵IDEを使わなければPC-98でも使用できる可能性はありますが、PC-98での使用は保証外で自己責任となります。また、機種/ロットによってはヒートシンクがマザー上の部品と干渉して使えないそうです。


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