*** L字イヤホンアダプタ ***


↑一見ありふれたアイテムに見えるが、モバイル機で
威力を発揮するにはそれなりの工夫が必要だった。

モバイルPCの音声出力の根本的な問題

 野外や電車の中でモバイルノート機を使うときは、音声が漏れるとまわりの迷惑となる事がありますが、MP3を聞いたり、ゲーム用途など、どうしても音声が必要な時は、ヘッドホンに頼ることになります。しかしイヤホンと比べるとヘッドホンは肝腎の音漏れを防ぎきれないものが多いのです。かといって密閉型ヘッドホンは高いですし、どのみち野外ですから両耳を塞ぐことはたいへん危険なのです。
 またPC本体も膝乗せなどでぐらつきやすいので、端子を傷めてしまうリスクが大きいです。この場合、L字コネクタのヘッドホンであればPC側のコネクタは傷みにくいのですが、強い力が掛かった際に抜けにくいですからコードが切れてしまうリスクもあるのです。
 このように、モバイルで音声がらみの用途には問題が多く、様々なリスクを抱えなければなりませんでした。

L字モノラル変換ケーブルの問題

 そこでまず、本来ステレオであるノートPCのヘッドホン出力を、音漏れしにくいイヤホンが使えるようにモノラルに変換すると同時に、非L字のまっすぐなコネクタをL字コネクタに変換するケーブルを、市販の自作用コネクタ(下図)を使って作製してみました。

  
↑今回使用した市販のコネクタ類↑

 まずは短めの適当なケーブルで、市販のL字ステレオミニジャックと、モノラル用ソケットを繋いだだけで試してみました。しかしこれには問題がありました。

 まず、中継ジャック部分に意外と重さが掛かっており、イヤホンを繋ぐと重力でそこに力が掛かりますから、イヤホンのケーブルが切れやすくなり、望ましくありません。またノートPCですから、液晶を閉じたときにその中継ジャックを挟んでしまうことがあるのです。当然、強い力で蓋を閉じようとすれば、液晶画面に致命的な破壊をもたらすことでしょう(怖っ!!)。それらに気をつけながら使わなければならなかったため、あまり使いやすいものではありませんでした。それにイヤホンを使わないときでもモバイルPCから中継ジャックが垂れ下がっていては、肝腎の携帯性が損なわれてしまいます。かといってイヤホン側につけておくと使いまわしができませんし、イヤホンを結んで仕舞い込むにも邪魔になります。

 しかしながら利点として、強い力が掛かった際に、この中継ジャックからイヤホンが外れてくれるため、イヤホンのコードが切れにくく、また音が漏れる心配もほとんどありません。それは実証できました。

L字アダプタ化

 なんとかそれらの問題を解決するには、中継ジャックが邪魔なので、変換ケーブルではなく変換コネクタとして一体化するしかありません。しかし両者の市販コネクタ自体がそれなりの大きさをもつため、単純にケーブル長を短くしただけでは、あまり使いやすい大きさにはなりません。
 そこで両者の金具を、同じコネクタ内に収まるように組み合わせてみたところ、極性が反転した状態で一体化できることが分かりました(下図)。通常、モノラルイヤホンに極性はありませんから、これで問題無いと思われます。


↑金具を一体化してはんだ付けする

 実際に装着するとこんな感じになります(下図)。変換ケーブルのときとは違って、イヤホンジャックが半固定されて好きな方向に回転できるようになりますし、モバイルPCに差しっぱなしにしてもほとんど気にならない小ささですから、使わないときは後ろへ向けて寝かせることもできますし、使うときは自分のほうに向けることができるのも便利でな点で、イヤホンを差すにも片手で簡単に扱えるようになりました。もちろん力が加われば簡単に抜けてくれるため、コードを傷めませんし、音も漏れません。


↑mobioに取り付けたところ。イヤホン穴が自分のほうに向くのはたいへん便利。
一見すると超小型カメラのようにも見えますので、電車の中などではご注意を。(?)

 そんなわけで、モバイルの音声はモノラルで十分だという人にはたいへん便利なアイテムに仕上げることができました。はんだ付けの出来る人なら、形の合うコネクタと、ちょっと時間があれば作ることができると思います。ただ、便利なものではありますが、アイディアも含めてモノ自体は単純なものですので、よく探せば同機能のものは市販されているのかもしれません。学生なら自分で作れるようなものでも、時間の無い社会人になればそうした手間をどんどん金で買わなくちゃならないようになるわけですから。


自作パーツへ