*** 自作PC-98外付けFDD ***
↑ジャンクのFDD筐体に、98本体から取ったFDDを入れてみた。
PC-98用のFDDの中には、標準の外付け50ピンI/Fに
直結するだけで外付けFDDになるものがある。
FDDの使いまわし
FDDは消耗品です。PC本体のFDDであればある程度仕様が共通していますから、98なら98、ATならATでそれなりに使いまわしが効きます。しかしどうも外付けFDDだと本体のFDDとは微妙に仕様が違うようで、使いまわしできない場合があります。
しかしPC-98用の外付け製品の中には、PC-98本体とまったく同じFDDを使っていながら、特定の基板などを介さずに、標準の50ピン外付けFDDインターフェースに直結で接続しているタイプのものが存在します。これを真似することができれば、廃棄されたPC-98本体から取ったFDDですら、PC-98の外付けFDDとして有効活用ができます。逆に、FDDが故障して捨てられた外付けFDDユニットを、I/F直結に改造して有効活用するとも言えます。3.5インチFDDであれば多分5Vで動きますから、50ピンコネクタを持つSCSI接続MOなどの筐体も利用できるかもしれません。
直配線
今回(と言ってもだいぶ昔の話ですが)は以下のようにPCLINE5DHという外付け製品を参考にしました。これにはPC-9801VM/VXで使われているような5インチFDDがもともと内蔵されています。一方、用意したFDD筐体は拾い物のCRC-FD35Sです。またFDDはPC-9801UXあたりからとったFD1137Dでした。
PCLINE5DHは後述のように1・2台目←→3・4台目切り替え可能な外付けドライブですが、PC-98本体に標準搭載されているFDD-I/Fは2台までしか想定しておらず、どちらに設定しても本体側のディップスイッチ(起動にHELPキーで出すメニュー)の設定に従いますから、ここでは考える必要はありません。また今回は1台のFDDだけなので1・2台目も深く考える必要はなさそうなのでFDD側で1台目に設定しておきます。ただしファイルスロット搭載機にファイルスロットFDDを3台目として増設した上で、さらに4台目の外付けFDDとして使いたいような場合には、ここで2台目として設定することになると思います。
↑ジャンクのFDD筐体に元々入っていた基板を外し、
ドライブとコネクタを直結したところ。
奥に見えているのは電源基板。
2HD/2DDの切り替え
PCLINE5DHにはもう一つ、2HD←→2DD切り替えスイッチも付いています。こちらはPC-98標準の50ピンのFDD-I/Fに繋いだ場合も有効らしく、ベクターのr2dd.comや緑電子の騙助といったドライバを併用することで、DOS上から2DDメディアを読むことができました。また、Windows上ではスイッチ切り替えだけで機能するようです。そこでこの機構だけは残したいと思いました。
元となっている筐体のCRC-FD35Sには、いわゆる「のっぺらボード」用と思われるミニプラグ穴が付いています。これはCバスに接続したのっぺらボードとミニプラグで接続することでDOS上から2HD/2DDを自動認識し、2DD専用I/Fを用意せずに2DDメディアを読み書きする仕様と思われます。今回は基板ごと取り外したのでこの穴が余りますから、そこから切り替えスイッチを出してみました。
↑本来の「のっぺらボード」用のミニプラグ穴に
2DD/2HD切替えスイッチを設置したところ。
この機構がのっぺらボード用端子にも転用できるかどうかは未確認。
↑あくまで参考ながら、「のっぺらボード」の例
部品や端子が圧倒的に少なく、ほとんど
電源だけ使う87ボードのような印象もあるが、
良く見ると一部のアドレス/データバス、IOなどが使われている。
結果
FD1137Dを50ピンコネクタに直配線した外付けFDDユニットは、幸いにも読み書きとも正常に動作しました。実は、PCLINE5DHの場合は1MB-I/Fに接続した場合は2DDの書き込みに問題があった(白状しますと文字通り読めただけです。Windowsのようにアクセスしただけで勝手にFD書き込みを行う環境では勝手に2DDの内容が破壊されます。)のですが、1137Dの場合は2DDも騙助やWindowsで読み書きすることができました。
後年、エマティさんのところでいろいろ話が出ていたのですが、PC-98用のFDDはどれも互換性がありそうでいて、実は細部が微妙に異なる場合があり、VFOの有無やピンアサイン、ドライブ上のジャンパ設定などによって動作する場合と動作しない場合があるようです。今回うまく動いてくれたのは一種の偶然だったのかもしれません。真似する場合は良く調べて自己責任で行うようにしてください。興味ある方はエマティさんのところやHAMLINさんのページが参考になるかもしれません。
試してみました。
スイッチの代わりにミニジャックを植えてみたもの。
配線としてはFDDの34ピンフラットケーブルの印側(1番ピン)がフレーム(GND)側、2番目の線をミニジャックのセンターに接続します(後述のPC LINE 5DHの配線で2DD/2HD切替スイッチになっている部分を参考)。まだ長く使い続けたわけではありませんが、結果から言えば一応動いているようです。
電気的には手持ちの3枚ののっぺらボードを調べたところ、そのミニジャックへの出力はどれもロジックICとして7438を介して出力されています。しかも間にLSなどの付かない74ICです。で、38はといえば検索するとオープンコレクタ出力のANDかと思いますので、どのような電気特性で出力されるかは受け側次第ということになりそうです。今回FDD側は調べなかったのですがオープンコレクタなら大丈夫だろうと思ってやってみたところ、とりあえず動いて一安心でした。いいかげんな情報ですが、あくまでご参考ということでご勘弁を。
基板を介さない、I/Fに直接続な方式の外付けFDDドライブの配線を調べてみました。
↑PC LINE 5DH
背面に36ピン・50ピンの2コネクタを持つ。
写真では片方のFDDがダミーに交換されている。
手元のPCLINE5DHは前述のような理由でMATE-Aで使っていたものです。ファイルスロットに3台目のFDDがある場合に、4台目のFDDを増設するために外付けするので、無駄になる1台目側のFDDを外していますが、実際にはファイルスロットFDDと2ドライブ外付けFDDを併用する場合でも、3台目はファイルスロット側が優先して使わるので競合はしないそうです。
余談ながら1台目側のダミーFDDボックスは、VM/VXのFDDなしモデルで使われていたものだと思われます。ちょっときついですがファイルベイにも入れられますのでファイルベイカバー代わりにも使えたりします(HDDは内蔵できませんが)。
元々入っていたFDDは調子が悪くなって交換したため、元のFDD型番は不明です。しかしVXからとったFDDがそのまま動くようでしたのて、内蔵FDDとの仕様は近そうです(だからダミーFDDに置き換えなんてのも思い付くわけですが)。しかも中を見れば配線上はほぼコネクタ直結ですから、逆に内蔵FDDを外付けに活用しようという発想も自然な流れでした。
配線の特徴
* 1・2台目用と3・4台目用切り替えスイッチがあります。DS1〜DS4の配線を見る限り、1台目か2台目しか設定が用意されていないFDDドライブでも3台目・4台目として使えるようになっているようですね。と言うより、元からFDD側のDS3/4ピンが接続されていません。
* 接続では2DD用の36ピンコネクタと2HD用の50ピンコネクタがあります。FDD側のピンを調べていないのでなんですが、FDDは2DD/2HD両用モードを持つ2モードFDDが想定されているはずです。両者のピンの違い(太字の部分)を考えますと、2DDとして使う場合は2番ピンと共にWID、MFM、SYCあたりをGNDに下げることでFDD側が2DDドライブとして振舞うということでしょうか?
* なお、どちらのモードでも36ピン側のMTRがGNDに接続されています。また、50ピン側のTSDもGNDに接続されています。
以前、この標準のコネクタに備わっている変換仕様を考慮せずにNEC製の変換ケーブルで接続してうまく動かなかったことがありましたが、単純な変換ではないとすればうまくいかなかったのも道理ですね(そちらでは使われていた50ピン側の20番ピンも使われていませんし)。恐らく36ピンと50ピンの併用(SCSIのような数珠繋ぎ目的に両方のコネクタを使う)にも対応していないのではないかと思います。当然ながら2DD-I/Fと2HD-I/Fの両方を同時に接続しても動作しなかった気がします。
−−− 以下、ピンの数え方に注意。フラットケーブルを基準にしてあります。−−−
FDD側 | フラットケーブル | AF36P | 信号(36/50) | AF50P | |
| | | −/TSD | 21 | ━┓(短絡) |
| | | −/GND | 46 | ━┛ |
1 | 1 | 1 | GND/− | | ━[スイッチ] (ON:2DD/OFF:2HD) |
2 | 2 | 19 | NC/− | | ━┛ |
3 | 3 | 2 | GND/WID | 1 | |
4 | 4 | 20 | HLD | 17 | |
5 | 5 | 3 | GND | 35 | |
12(切替) | 6 | 21 | DS4 | 10 | |
7 | 7 | 4 | GND/MFM | 2 | |
8 | 8 | 22 | IDX | 16 | |
9 | 9 | 5 | GND | 38 | |
10(切替) | 10 | 23 | DS1 | 13 | |
11 | 11 | 6 | GND/SYC | 14 | |
12(切替) | 12 | 24 | DS2 | 12 | |
13 | 13 | 7 | GND | 36 | |
10(切替) | 14 | 25 | DS3 | 11 | |
15 | 15 | 8 | GND | 37 | ━┓(短絡) |
16 | 16 | 26 | MTR/GND | 37 | ━┛ |
17 | 17 | 9 | GND | 34 | |
18 | 18 | 27 | DIR | 9 | |
19 | 19 | 10 | GND | 33 | |
20 | 20 | 28 | STP | 8 | |
21 | 21 | 11 | GND | 32 | |
22 | 22 | 29 | WDT | 7 | |
23 | 23 | 12 | GND | 31 | |
24 | 24 | 30 | WGT | 6 | |
25 | 25 | 13 | GND | 30 | |
26 | 26 | 31 | TK0 | 5 | |
27 | 27 | 14 | GND | 29 | |
28 | 28 | 32 | PRT | 4 | |
29 | 29 | 15 | GND | 28 | |
30 | 30 | 33 | RDT | 3 | |
31 | 31 | 16 | GND | 44 | |
32 | 32 | 34 | SSL | 19 | |
33 | 33 | 17 | GND | 40 | |
34 | 34 | 35 | RDY | 15 | |
* なお、この表は何年も前のメモを元に作成しました。記述間違いもあるかもしれませんので、慎重に裏付けを取った上で自己責任でご参考にしてください。
自作パーツへ